敷金トラブルサポートセンター 提供
敷金返還。トラブル解決
敷金とは本来入居者が賃貸借物件から退去した際、速やかに敷金の差額を賃借人に返還しなければなりません。 信義誠実の原則に則り公平・公正に敷金清算することだけが認められています。 原状回復は家主負担が基本です。敷金トラブルの原因を探るといつもここに問題が潜んでいます。
敷金トラブル・返還請求 − 敷金とは何ですか?
敷金に関する法律がありますか?
敷金トラブル・返還請求と小難しい見出しですがご勘弁ください。敷金トラブルについてそんなに難しい話をすることはないので気楽に読んで下さいね。
おうちを借りるとき家賃とは別に敷金というよくわからないお金を請求されます。多くの方が、敷金というものの制度に関してよくわからないまま払っています。それではいけないと思うんですよ。だから敷金清算でトラブルになるんです。トラブル防止のためにも敷金の理解しっかり付けてください。
敷金という文言は民法316条の中に存在します。ちょっと見てみましょう。
民法第316条
賃貸人が敷金を受け取りたる場合においてはその敷金を以って弁済を受けざる債権の部分についてのみ先取り特権を有す。
敷金についての規定と理解できれば十分です。よくわからなくても気にせず続けてください。
敷金という言葉が日常的に用いられているのは、不動産業界です。
不動産の取引にもいろいろあるのですが、敷金という言葉は、賃貸、それも住居用の
賃貸借契約に付随して登場する言葉です。
敷金とは本来、住宅を賃貸借する時(アパートを借りてすむ場合)
、賃料その他賃貸借契約上の債務担保・トラブルの保証をするために入居者が家主に退去のその日まで預けておく金銭のこと。
担保するとはいわゆる保証するということです。
つまり敷金とは入居者が入居前に家主に預ける保証金のことになります。(判例では敷金と保証金とは別個のものですが、一般の人から見た感覚は敷金=保証金としたほうがわかりやすいと思いますのでこう記します。)
保証金(敷金)をもう少し噛み砕いて説明すると、人間何年もすんでいたら
急に入院したりといったことが起こりうるわけで、家賃を払うことが出来なくなり、トラブルに発展することがあるかもしれません。
そうなると家主さんとしてはその間家賃収入が途絶えるので
そういったもしものときに備えて入居者からあらかじめ敷金という名目で金銭を預かっておけば、
何かあったときにその敷金から家賃なりに充当され・トラブルを減らすわけです。
ついでにもうひとつ敷金が出てくる法律を紹介しておきますね
民法第619条
賃貸借の期間満了のあと賃借人が賃借物の使用または収益を継続する場合において賃貸人がこれを知りて異議を述べざるときは前賃貸借と同一の条件を持ってさらに賃貸借をなしたるものと推定す。但し各当事者は第617条の規定によりて解約の申し出をなすことを得る。
2 前賃貸借に付当事者が担保を供したる時はその担保は期間の満了によりて消滅す。但し敷金
はこの限りにあらず。
敷金返還トラブル − 敷金は誰のもの?
敷金は誰のものか?これははっきりしています。敷金は入居者のものです
この点をはっきりさせておかないのでトラブルになります。
敷金とはもしものときに備えてのお金です。入居者が家主に入居期間中に預けるお金のことです。
ですから敷金とは誰のものかといえば入居前も入居中も退去したあとも入居者のものです。
家主には一時的に敷金を預けているだけです。決して敷金は横柄な家主のものではありません。
しかし現実にはいったん預けた敷金は家主のものというように入居者も家主もなんとなくそう思っているようなへんな風潮があります。特に家主においては敷金は家主のものという考えの傾向が強いです。
ここにも敷金トラブルの原因を見て取れます。
はっきりいってこれは大きな間違い。敷金は家主のものじゃない!私のもの!ってね。トラブルになったときははっきりいってやりましょう。
ここで敷金がいったい誰のものかを知るために関連法律を見てみましょう。
民法第312条
不動産賃貸借の先取り特権はその不動産の借賃その他賃貸借関係より生じたる賃借人の債務につき賃借人の動産の上に存在す。
この条項にある動産には敷金も含まれています。そしてこの条項ではっきりと賃借人の動産(敷金)とあります。
これで敷金が誰のものか明確になりました。 この点きちんと整理されていれば敷金トラブルはぐんと減るはずです。
お金を預けるといえば誰でも思いつくのに銀行があります。自分のお金を一旦銀行に預けたらあなたの大事なお金は銀行のものになるでしょうか?
なるわけありませんよね? そんなことしたらとんでもないトラブルになりますよね?
敷金もこれと一緒とご理解ください。
敷金返還トラブル − 敷金本当に返してもらえるの?
入居者は入居しているアパートから退去したとき、敷金を返してくださいと返還請求する権利があります。
入居者が退去したときは家主は敷金を入居者に速やかに返還する義務が当然にあります。
これが基本中の基本です。 それをないがしろにするから敷金トラブルとなるのです。
一方、もし、入居期間中に入居者が室内を壊したり、汚したりした箇所が有れば、
もし、入居者が滞納している家賃等(水道光熱費、自治会費等も含)が入居期間中にあれば、
その修繕義務・弁済義務が入居者の責に帰すべきものであり、克、
それらを入居者が退去するそのときまでに清算しないとき、 このときは逆に家主に入居者が損害を与えることになるので、トラブルに発展します。
しかし、このとき敷金があれば、トラブルもおきにくいわけです。
家主はこのようなトラブルが発生したとき、その清算すべき金額を従前に預かっていた敷金から正当に差し引くことが出来るのです。それ以外の清算方法は法は原則として認めていません。
敷金返還トラブル − 敷金返ってこないのはなぜ?
しかし、実際には敷金を何とか理屈をつけて返還しない。そういうトラブルが多いです。そんな家主もたくさんいます。確かに大家のほうが立場が強い。そのことをいいことに自分のわがままし放題。勝手な言い分で清算する大家がいるからたまったもんじゃあないです。
ルールに基づいて誠実に行われた敷金の清算であればそれでよいのです。反対に法を勝手に解釈しての敷金清算をそのまま認めるわけには絶対いきません。
そんなことをすればトラブルになるのは当然です。
敷金返還トラブル − 敷金を取り返せ!
敷金は本来返還されるべきものです。
敷金の返還は入居者の正当な要求です。
敷金を返すべき義務があるのに不正に返還しない。これは立派なトラブル・犯罪です。
最近ではこの敷金の清算方法をめぐりいろいろとトラブルが各地方で起こっているようです。
これまでは、立場の弱い入居者が立場の強い大家にやられるだけやられていました。トラブルとして表面化は今より少なかったのではないでしょうか?
以外にもトラブルにならず大家の論理ですべてがかたずけられていました
しかし最近では、このような一方的に大家に敷金清算やられるだけやられて
だまっていることを良しとしない。自分たちの敷金は自分たちのもんだ。 大家に言いがかりを付けられて、はいそうですか、と
自分の敷金なのにただ黙ってとられていくのを見ていて、馬鹿にされて、トラブルとして解決を求めないわけには行かない。
そういう勇気ある人たちがたくさん立ち上がってきました。
自分の敷金を正当返還してもらうこと。ただそれだけのことなので何を遠慮する必要がある?こちらが負い目引け目を感じる理由は何処にもないトラブルです。!
そうですそのとおりです!はくしゅかっさい!
敷金返還トラブル − 敷金返還請求の主張をせよ!
不誠実な対応には納得できない。敷金は大家のものじゃない、私のものだ!
そうはっきりと主張できるそんな人間がだんだん増えてきたことは良い傾向です。
今後トラブルも増えると思いますが、それは正しい主張をする人が増えるからです。
では、実際に敷金のトラブル解決・返還請求を行うにはどういった行動を起こすべきでしょうか?
まずは、はっきりと自分で不動産業者と大家に敷金を返還するよう強く請求することです。
口頭で敷金返還を要求し、トラブルの解決を図るのもひとつの方法ですので否定はしませんが、ここはスパッとひとおもいに内容証明郵便で敷金返還請求をしておく方法も悪くないと思います。
というより、内容証明郵便での敷金返還請求はトラブル解決にとってもお勧めの一手です。
ひとつ内容証明の文例を掲載しておきますので参考にしてみてください。以下の敷金返還請求の文例は退居前にするとトラブル解決に効果的な文例です。
敷金返還トラブル − 敷金返還請求通知書文例
退居通知 及び 敷金返還請求書
私は平成15年6月より兵庫県神戸市6−5に入居いたしておりますが、
来月末日を持って明け渡しを致したくその旨通知いたします。入居期間中の賃料の支払いに一度も滞納はなく
室内も善良なる管理者として大切に使用してまいりました。特別補修が必要な汚れ等もございません。破損箇所もございません。
いわゆる原状回復義務として、敷金にて清算するべきところはございません。
敷金を返還する義務が御社にはあります。あらかじめ速やかに本物件の明け渡し完了後、敷金の全額を返金されますよう請求いたします。
なお敷金の返還が、物件明け渡し完了にもかかわらず、七日以内になされないときは、遅延損害金として法定利息をあわせて請求し、かつ法的処置、管轄当局への通知をとる事となりますので念のため申し添えます。
以上
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敷金返還トラブル − 原状回復?
大家さんは敷金返還を渋る理由として
わたしはあんたに貸す時に畳も襖も壁紙も全部新品にして貸したんだから
この部屋を出るときには全部新品にして返しておくれ。それが当たり前だよ。
入居前の敷金はその原状回復費用にするから返さないよ。
こういった主張をしトラブルになることが多いです。
この文例の中で、原状回復という言葉が出てくるのですが、
ちょっと意味がよくわからない。わかっているつもりでも
実は正しく理解していないケースが多いです。
新品で借りたものは新品で返すんだよ!原状回復して返すんだよ!
さて、読者の皆様はこう大家に言われたら敷金は大家のものとあきらめますか?
このサイトに来てくれた人たちは決して
こんな言い分にだまされてはいけません。敷金はあなたのものです。
原状回復義務の意味を自分の都合で勝手に解釈することは許されません。
こんな大家からはなんとしても敷金は返してもらわなくてはなりません。
敷金返還トラブル − 原状回復は入居者責任?
この原状回復義務の範囲を説明するには、
国土交通省のガイドラインがありますので参考にされても良いでしょう。
国土交通省ガイドライン
原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」とあります。
簡単に申し上げますと原状回復義務とは入居者が退去するとき
入居する以前の状態に戻す。という意味です。しかし、この入居前の状態(原状回復)とは新品にして返すという意味ではありません。そこまでの要求は認められません。
アパートに入居する前、お部屋の中はどうなってました?邪魔なものありましたか?基本的に空っぽの状態で借りますよね?その入居前の状態にきちんと戻しなさい。但し、入居者がだめにしたところはちゃんと戻しなさいね。それぐらいの意味です。
判例をひとつ紹介しておきましょう。
判例 = 建物は時の経過によって減価していくのは避けられず、賃貸人はこれに応じて賃料収入を得るものである。建物を賃貸開始時の状態、すなわち時の経過がなかったような状態に復帰させることを要求することは、当事者の公平を失するというべきである。
したがって、(原状回復義務とは)社会通念上、時の経過および建物の通常の使用によって生ずる自然の損耗についてまで、それがなかった状態に回復すべきことを要求しているものではなく、賃借人の故意・過失に基づく建物の毀損や、通常でない使用方法による劣化などについてのみ、その回復を義務づけたものと解するのが相当である。
敷金返還トラブル − 畳や壁紙は?
原状回復の基本的原則は上述のとおりですが、
ここにもし入居者がじぶんで壊したところや汚したところ、
だめにしたところがあれば当然修繕して退去する義務があります。
これをきちんと修繕せずに退去すると、逆に入居者がトラブルを起こすことになります。
この原状回復・修繕義務の範囲が敷金返還を不正に拒否する大家の言い分な訳ですが、
ここでくじけてはなりません。
「新品で貸したのだから新品で返してくれ」
これは全くの詭弁です。先ほどの判例をもう一度見てください。
たとえ借りるとき新品であっても当然に返すときに新品にして返さなくてはならない。
そんな必要はありません。
もうひとつ判例を見てもらいましょう。
判例 = 壁についた冷蔵庫の排気跡や家具の跡、畳みの擦れた跡、網戸の小さい穴については、10年近い賃借人の賃借期間から見れば自然損耗と言え、飲み物を絨毯にこぼした跡、部屋の家具の跡等については、賃借人が故意・過失または通常でない使用をしたための毀損とは認められない。
敷金返還トラブル − 経年劣化・自然磨耗
どんなな壁紙も入居者が入居しているいないにかかわらずどんどん痛みます。陽に当たれば色あせてきますし。畳も色あせてきます。これは入居者にはどうしようもありません。これを自然磨耗と呼びます。
自然磨耗とは入居者がいようがいまいが、事件の経過とともに自然と痛んでいくことです。
つまり、その劣化・磨耗は入居者の故意・過失で傷んだものとはいえないこと。そして
自然磨耗の分まで入居者が負担することはおかしいと思いませんか?。
おかしな要求をするからこそ、トラブルになるんです。
敷金返還トラブル・契約書に新品にして返せとある
「契約書に新品にして返さなくてはならない。」と書いてある。
大家さんや、不動産業者は間違いなくそう主張することでしょう。
たしかに賃貸借契約書にはそう記載してある場合が確かにあるようです。
しかし契約書に書いてあればなんでもそのとおりですか?
消費者契約法にはこう規定されています。
消費者契約法 第10条
民法、商法、その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する消費契約の条項であって民法第1条第2項に規定する基本原則(権利の行使及び義務の履行は信義に従い誠実にこれをなすことを要す)に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする
こんなにはっきり書いてあるんですよ。いくら契約書に書いてあろうが、入居者に一方的に不利な条項は無効です。そもそも、契約書に明記されていたら何でもその文言が有効というわけには行きません。いくら契約書でも絶対的拘束力は認められません。
もし、この賃貸借契約書に家賃の滞納の恐れのある時は泥棒をしてでも用意しなければならない。そんな条項があったとしても絶対に無効です。
いくら契約書に退居時の入居者の義務として補修義務条項が記載されていたとしても、その条項が有効と認められることはほとんどありません。仮に裁判をしたとしても、たいていは入居者に有利な判決が出ます。
一方に法律の規定があって、もう一方に私文書である契約書があって、その中身が相反するとき、どちらが優先されるべきでしょうか? トラブル発生時にはどう対応するべきでしょうか?
敷金返還トラブル − 修繕義務は誰にある?
自然磨耗、経年劣化による建物修繕義務は家主にあります。はっきりと民法の中に明記されています。敷金清算は認めておりません
民法第606条 賃貸人の修繕義務
賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕をなす義務を負う。
これはあなたが退去したあと、次の入居者が使用できる状態に整えるのは家主の義務であることを意味しています。
敷金返還トラブル − 弁済
民法第316条
賃貸人が敷金を受け取りたる場合においてはその敷金を以って弁済を受けざる債権の部分についてのみ先取り特権を有す。
法律には「弁済を受けざる債権の部分についてのみ」とありますね。つまり敷金は大家の好きにしていいとは一切書いていないんです。
いくら契約書に特約条項がついていたとしても必ずしもその条項に従う義務はなく。正当に敷金返還請求を行うことが出来るのです。
家主や不動産業者はここのところを悪用し、トラブルへとつながっているのです。しかし何度もいっているように、そ入居者はだまされてはいけないのです。原状回復の範囲は公平に解釈されるべきです。民法・消費者契約法の法律の規定に従い、各種判例に従い、国土交通省のガイドラインに従い、敷金は正当に返還されなければなりません。
敷金トラブルに関する法律、判例、ガイドラインは立場の弱い入居者の味方です。ぜひ頑張って敷金トラブルに立ち向かい、大事なあなたのお金を取り戻してください。
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